服飾専門学校で非常勤講師をしている大倉です。
完成度の高い洋服をために重要な要素の一つに生地選びがあります。生地選びのコツを結論から言えば実際に触って確認することです。これが一番手っ取り早いです。
といっても素材の種類が豊富なので、それぞれの素材の特徴や用途を理解するのは簡単ではありません。そこで、アパレルでは生地見本(サンプル帳)が使われます。この記事では、アパレルで使われる生地見本(サンプル帳)について解説していきたいと思います。
生地見本(サンプル帳)とは?
生地見本とは、アパレルメーカーや生地メーカーが作成する、実際の生地を切り取って貼り付けたサンプル帳のことです。一般的には、布地や革、編物などの生地を貼り付け、その生地の種類や素材、特徴、色や柄などが一目で分かるようになっています。
生地見本には、以下のような情報が掲載されることが一般的です。
- 生地の種類や素材(例:綿、ポリエステル、レーヨン、シルク、ウール、革など)
- 生地の特徴(例:柔らかさ、伸縮性、吸水性、耐久性、光沢感など)
- 生地の色柄(例:ベーシックな無地やストライプ、チェック、花柄、アニマル柄など)
- 生地幅
生地見本は、アパレル業界において非常に重要なツールです。ほとんどのデザイナーが洋服をデザインする際に、生地見本を見比べながら適切な生地を選択しているはずです。
生地見本は、アパレルメーカーや生地メーカーからの販売促進材料としても使用されています。最近では、生地見本をオンラインで確認できる企業も増えています。オンラインでの生地見本提供は、生産性の向上や環境負荷の低減につながるとともに、地理的制約のある場所でも生地選びができるようになるメリットがあります。とても便利ではありますが、正直生地の風合いや厚みなどは分かりません。
ですから一番確実な生地選びのポイントは最初に言った通り、実物を触ってみることです。
生地選びの注意点と失敗例
生地選びは、色や素材で選びがちですが本当に考慮しなければならないのはデザインとマッチしているか?です。以下は生地選びの失敗例です。
- フレアスカートを作りたいのにハリのある生地を選んだ。→きれいなフレアはでません。
- プリーツスカートを作りたいのにアイロンが効かない生地を選んだ→きれいなプリーツがでません。
色や素材も大切ではありますが、どんな洋服を作りたいのか?最初に決めたコンセプトに従い選ぶようにしましょう。
また生地選びはデザインのみではなく、機能性やSDGsも考慮して選ぶと商品としての魅力が増します。例えば、アウトドアウェアやスポーツウェアの場合、防水性や通気性は重要ですよね。サステナビリティや環境への影響を考慮する場合、オーガニックコットンやリサイクル素材など、環境に配慮した素材を選ぶと他の洋服との差別化も可能になります。
まとめ
以上が生地選びのコツとアパレルで使われる生地見本(サンプル帳)についてでした。
とても重要な役割を持つ生地見本ですが、その作成には多くの手間やコストがかかります。生地メーカーは、商品の開発や販売にあたり、様々な素材を研究し、試作品を作成しています。そして、その中から選りすぐった生地を見本用に切り取り、貼り付け、説明文や色見本を添えてサンプル帳にまとめてくれています。ありがたく使わせてもらいたいですね。
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