洋服を作る時に、「概算でいいのでどれくらい生地が必要になるかわかりますか?」ってよく聞かれますが、実は結構答えにくい質問なんですね。もちろん、大体の用尺を答えることもできるのですがこの用尺で買うと確実に損します。そこで、
- なぜ答えにくいのか?
- 概算で生地を買うとなぜ損をするのか?
服飾専門学校で非常勤講師をしている大倉が解説してみたいと思います。
アパレルのアイテムごとに必要な用尺を概算で知りたい
アイテムごとの用尺をざっくり言うと、こんな感じになります。
- ジャケット 3m
- パンツ 2.5m
- シャツ 2.5m
- スカート 2.5m
- ワンピース 4m
この数字を見て、「なんの根拠があってその数字出してるの?」「もっと減らせそうだけど?」と疑問に思った人は洋服を作った事がある人でしょう。というのも、この用尺はなんとなく「これだけあれば足りるでしょう」っていう割と適当な用尺だからです。つまり、不要な分の生地まで購入しても良ければ、この位って数字になります。
最初に言った通り、概算で生地を購入すると不要な分まで含まれるので損するんですね。
では、適当な数字ではなく、正確で根拠のある数字をだそうとすると、途端に話はややこしくなります。
正確な用尺の出し方は?
正確な用尺は、生地幅と型紙(パターン)によって変わります。
生地幅
たとえばAとBは生地幅が違います。Aの生地幅が90cm、Bの生地幅が140cmです。同じ型紙を使って二つの生地で用尺を出すと、違いが分かります。
Aの生地は、生地幅が狭いため身頃(体のパーツ)を入れると袖のパーツは入りません。その為、袖は仕方なく、身頃の上でとる事になります。しかし、生地幅が広がると…
生地幅が広い分、身頃をとってもその脇で袖のパーツもとる事ができます。当然 生地幅が広いBの方が必要な生地の長さが少なくなりますよね。その為、生地幅は用尺に影響する要素の一つとなります。
型紙
洋服のシルエットで用尺は変わります。ロングワンピースとミニワンピースなら当然ロング丈の方が生地が必要になりますよね。概算で用尺を出した場合は、こういった部分が考慮されません。
また、ダボッとしたビッグシルエットなどで身頃の幅が大きい場合も用尺が増える原因となります。
このように使いたい生地の生地幅で必要最低限になるよう型紙を置いてシミュレーションすることをマーキング・型入れ・用尺だしなどと言います。いろんな呼び方があります。
このマーキングはPCで作成しましたが、実際の型紙を並べる事でも可能です。
パーツが多くなるとパズルのように複雑になる場合もあります。そうなるとマーキングの入れ方でも用尺が変わります。こうやってマーキングして出た用尺が正確な必要量です。
また、マーキングで出た用尺にメートル単価をかけた数字が生地購入に必要な値段となります。
メートル単価
一般的に売られている生地は1mいくらなのか?で表記されています。ネットで買うと、10cm単位の価格もあるため注意が必要です。
マーキングで出した用尺が一番正確
というように「概算でどれくらい生地が必要になるか?」は、結構答えにくい質問となります。実際の生地幅に、型紙を並べてみないと正直わからない!というのが本音です。ただ、そうやって出した用尺が一番確実で、間違いのない方法となります。
型入れの注意点
型入れをするときの注意点は以下の通りです。
- パーツ数を間違えない事
- 地の目を間違えない事
- わのパターンは開くこと
- 型紙は左右反転させる事
- 縫い代つきで行う事
以上の点に注意して型入れしてみて、一番確実で一番安く生地を購入しましょう。
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